さて、一体どうして一時的にCVRが向上するのでしょう。
我々は、この不思議な現象をアクセス解析のデータを元に考え、以下のような仮説を立てました。
「2度以上訪問する客は、HPデザインが同じ内容でも違った表現や強調することで購買意欲を高める」
上記の仮説については、リアルな世界でもスーパーの食品売り場を見ているときに皆さんも経験したことがあると思います。
例えば、スーパーにいつもと同じように椎茸が並んでいても購入しなかったのに、椎茸の横に「きりたんぽ鍋」のディスプレイがしてあったりすると、鍋をする予定などないのに、ついその鍋に入っている材料をすべて購入してしまったりすることがあります。
しかし、椎茸は以前スーパーに来た時と同じ椎茸なわけで、スーパー側は椎茸の提供価値を具体的に表現することによって、顧客の購買行動を喚起しているわけです。そして、それにまんまと引っかかってしまう自分に気づいたときに、上記の仮説が頭に浮かんだわけです。
思い立ったが吉日と、すぐにリピート客に1度目の訪問とは別のHPを表示させる「Web表示変更システム」を開発し、リピート(再訪問)/ビジター(初回訪問)用HPデザイン最適化の効果を検証してみました。
変更前

まずは、変更前のページを見てみましょう。
当然のことですが、訪問者は、1度目と2度目の訪問は同じ情報を同じ表現で見ることになります。再度訪問したということは、おそらく、そのページの商品に興味があり、競合と比較したり、前回訪問した際に見逃した部分を再度チェックしたりしているのでしょう。
しかし、表示されている情報も、表現方法も1度目と変わりませんので、購買の意思決定は全面的にユーザに委ねられます。
変更後

変更後のページを見てみましょう。今回はCookie(クッキー)を使って、1度訪問した訪問者(再訪問者:リピーター)には、1回目の訪問時とは別のHPを見せています。
変更前のページをアクセス解析した結果、訪問者は価格、商品スペックなどの部分に時間を使っていることがわかりました。
そこで、2度以上訪問があったリピーターには、価格、商品スペック、そして、購買を喚起する最後の一押しとして、信頼性情報などをより具体的且つ詳細に見せるようにしました。

リピーター用HPデザイン最適化の結果は、変更前のCVRが0.95%に対して、変更後のCVRは1.52%となりCVRが60%改善しました。
計測期間は、最適化前後5日間の平均で、1週間以上経つとだんだんと効果が薄れていくようです。これは、おそらく購入意欲のあるリピーターは1週間以内に再訪するということなのだと推察しています。